パソコンのリサイクル

リサイクルの流れ

1パソコンの分別と分解

パソコンが到着すると、梱包を解き、ノートパソコン、デスクトップパソコンやモニター、周辺機器などに分別します。その後、パソコンのデータ消去等のため、ネジを外してハードディスクを取り出します。

2ハードディスクデータの消去

取り出されたハードディスクなどの記憶装置のデータ消去作業または物理破壊を行ないます。

3再生可能部品の取り出し

前工程で分解されたパソコンを、さらに部品単位に分解し分別します。この作業には知的障がい者就労支援施設のみなさんのご協力をいただいて、その報酬をみなさんにお支払いしています。

4資源回収業者への引き渡し

分別された部品は専門業者へ引き渡され、さらなる分解や溶解を経て、金属などの資源に生まれ変わります。

5再生パソコンとして生まれ変わるものも

業務用パソコンのうち一部のきれいで機械的な破損がないものは、再生パソコンとして生まれ変わります。部品ごとの正常を確認し、消耗度の高い部品は交換され、新しい正規のWindows10をインストールします。最後にていねいなクリーニングと厳しい検査を経て、ふたたび世の中に出ていきます。

資源のその後のリサイクル

パソコンに含まれる金属やプラスチックなどは再利用可能な限りある資源です。「混ぜればゴミ、分別すれば資源」となりますが、障がい者のみなさんなどの手をお借りすることなどで、資源化を徹底的に進めています。

電子基板(銅、アルミ、銀、金)

プリント基板などの電子部品から、金・銀・白金・パラジウム・サマリウム・ニッケル・アルミニウム・銅等の金属が取り出されます。パソコンやスマートフォンなどには大量の希少金属が使われているため、「都市鉱山」とよばれる貴重な供給源となっています。

液用パネル

まだまだ使用できるものが多いため、整備して再利用されています。また希少金属が多く使用されているため、金属リサイクルとしても需要があります。

外装(プラスチック、鉄)

外装カバーのプラスチックなどは、破砕機で細かくペレット状にされ、再生プラスティックとして生まれ変わります。 デスクトップパソコンの外装などは鉄、ノートパソコンは軽量化のため、マグネシウム合金などが多く使われています。


パソコンリサイクルへの考え方

パソコンと3R

地球の限りある資源を使い尽くす現代社会はこのままでは持ちません。

3R(スリーアール)という言葉。それは、リユース(Reuse、繰り返し使うこと)、リサイクル(Recycle、ごみを資源として再び利用すること)、リデュース(Reduce、ごみを減らすこと)の3つのR(アール)の総称です。

日本全国に1億台あるといわれるパソコンも、資源としてみた場合、適切な処理が行われているとはいえません。法律上の仕組みは存在していますが、それもまだ十分に機能しているわけではないのが実情です。私たちは、パソコンのリユース、リサイクルを実現したいと考えています。 

金属資源と「都市鉱山」

パソコンやスマホの電子基板に含まれる金や銀、液晶画面のインジウム、バッテリーのリチウムさらには電線の銅などほとんどの金属は海外からの輸入に頼っている現状です。
近年では、「レアメタル」と呼ばれる希少金属を中心に、需要と価格が高まっていましたが、コロナ禍による影響で各国での資源囲い込みが危惧され、日本がどうやって金属資源を確保していくかがこれまで以上に大きな課題となっています。

2021年に開催予定の東京オリンピックでも、メダルの製造に金32kg、銀3500 kg、銅2200 kgが必要でしたが、これをパソコンやデジカメなどのリサイクルプロジェクトによって賄われたことはニュースになりました。
これだけの金属が廃棄物として、眠っていたことは「都市鉱山」として再認識の機会となりました。

当機構では東北の事業所や家庭で眠っている宝の山を採掘して、社会に貢献したいと願っております。


障がい者雇用への貢献

廃棄するパソコンを資源化するには、素材ごとに手作業で分解することが必要になります。
その作業を、障害者のみなさんに携わっていただくようなしくみをつくりました。(宮城県産業廃棄物再生資源等有効活用推進事業<平成28年度>に採択)

さらに現在では、良質な使用済パソコンを再生パソコンとして生まれ変わらせるための重要な工程であるクリーニング作業にも、携わっていただいております。

これらは彼らの粘り強い適性に合った仕事で、資源処理の専門工場に引き取ってもらうことで資源化に貢献し、また報酬をお支払いすることで収入の向上につなげています。

現在、複数の障害者就業支援施設でパソコン分解事業を行なっておりますが、この運動を広げていくために、行政への提案活動も並行して行なっています。